最初で最後の恋だから。ーセンセイー
授業が始まるまで寝ていようと思っていたその時教室のドアが開いた。

「澪ーっ?」

(澪・・・里谷さんの事だ)

まだ来ていない少女の名を呼びながら彼女は近づいてくる。

「寝たフリなんてする奴はこうだっ。」

突然後ろから抱きしめられて私はきゃあと声をあげ、机を蹴飛ばしてしまった。

「澪?!
・・・えぇ~。」

彼女は人違いに気付いたようだった。

「ごめんなさいっっ!!
てっきり澪が私のことからかってるんだと思って・・・。
本当にごめんなさい。

必死に謝る彼女はくりくりした丸い目が印象的で見ているとどこか小動物的だった。

「私、小林紗智。
5組の伊藤クラスなんだ。
隣だから見かけたらいつでも声掛けてね!」

そう言い残すと返事をする間もなく彼女は去っていった。
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