最初で最後の恋だから。ーセンセイー
進学合宿を終えてからの私はパン屋さんでバイト三昧の日々を過ごしていた。
「いらっしゃいませ。」
レジと接客、パンの補充に雑用。
小さな店内にはいつも人が溢れていて休む間もない忙しさだった。
(働くって大変なんだな)
朝は九時から昼の三時まで毎日働いて、終わるとヘトヘトになった。
身体は疲れていたけれど充足感があった。
疲れていても帰宅してから毎日勉強とマフラーの続きは欠かさなかった。
(出来上がっても渡せないよね)
あれから古賀君とは話せないままだった。
どこか避けられているような気もしていて話せないまま夏休みに入ってしまった。
(アイツの事、話したいけど)
頭のなかをぐるぐる同じ思考が巡る。
まとまらないまま眠りについた。
仕事にも慣れてきて、開店前に窓拭きをしていた私に声を掛けてきたのは紗智だった。
「ゆずちゃん、久しぶり~っ!!
家の近くのパン屋さんって行ってたからここだと思った~。
朝ご飯のパン買いに来たんだ。
お勧めのパン、教えて欲しいなっ。」
「オススメはコルネかな。
三種類のクリームが選べてサクサクのパイ生地がすごく美味しいんだ。」
「他には?」
「私はりんごちゃんが好きだけど。」
「りんごちゃん?」
「うん。」
「クリームパンの中に林檎の甘煮が入ってるの。」
「美味しそうっ!!」
「今、お店開けるね。」
紗智は店内に入るとにこにこしてパンを選んでいた。
大量のパンを持ってレジに来たので一人で食べるのか聞くと古賀君の家に持って行くという。
「ゆずちゃん。」
「哲君、ゆずちゃんの事気にしてたよ。」
「・・・。」
「これね、哲君の携帯の番号だから。」
紗智は小さなメモを私の手に握らせて帰って行った。
「いらっしゃいませ。」
レジと接客、パンの補充に雑用。
小さな店内にはいつも人が溢れていて休む間もない忙しさだった。
(働くって大変なんだな)
朝は九時から昼の三時まで毎日働いて、終わるとヘトヘトになった。
身体は疲れていたけれど充足感があった。
疲れていても帰宅してから毎日勉強とマフラーの続きは欠かさなかった。
(出来上がっても渡せないよね)
あれから古賀君とは話せないままだった。
どこか避けられているような気もしていて話せないまま夏休みに入ってしまった。
(アイツの事、話したいけど)
頭のなかをぐるぐる同じ思考が巡る。
まとまらないまま眠りについた。
仕事にも慣れてきて、開店前に窓拭きをしていた私に声を掛けてきたのは紗智だった。
「ゆずちゃん、久しぶり~っ!!
家の近くのパン屋さんって行ってたからここだと思った~。
朝ご飯のパン買いに来たんだ。
お勧めのパン、教えて欲しいなっ。」
「オススメはコルネかな。
三種類のクリームが選べてサクサクのパイ生地がすごく美味しいんだ。」
「他には?」
「私はりんごちゃんが好きだけど。」
「りんごちゃん?」
「うん。」
「クリームパンの中に林檎の甘煮が入ってるの。」
「美味しそうっ!!」
「今、お店開けるね。」
紗智は店内に入るとにこにこしてパンを選んでいた。
大量のパンを持ってレジに来たので一人で食べるのか聞くと古賀君の家に持って行くという。
「ゆずちゃん。」
「哲君、ゆずちゃんの事気にしてたよ。」
「・・・。」
「これね、哲君の携帯の番号だから。」
紗智は小さなメモを私の手に握らせて帰って行った。