最初で最後の恋だから。ーセンセイー
チャイムが鳴り、私はお弁当を持って立ち上がった。
晴れた日は図書館に続く渡り廊下で食べることにしている。
食べ終わった後図書館で本の世界に浸るのが私の日課だけど今日は出来ない。
のんびり空を見つめながら食べ終えると私は職員室に向かった。
職員室の扉を開けると、タイミングよくすぐ近くに伊藤先生はいた。
「伊藤先生。」
「・・・質問か?
ちょっと待て。」
「あの、質問じゃなくて。」
「・・・?」
「伊藤先生に昼休みに職員室に来るように言われたんです。」
伊藤先生は一瞬考え込み私をまじまじと見た。
「名前は?」
「1年6組の須藤です。」
どうやら先生の記憶にはないらしい。
「済まない、呼び出した理由を教えてくれないか。」
そんなの私が知りたい。
申し訳無さそうに切り出す先生につい笑いそうになるのを堪えながら私は言った。
「授業中に余所見していて呼ばれました。」
「あぁ、それでか。
真面目な奴だな。
毎時間誰かに同じ事言ってるがちゃんと来たのはお前が初めてだ。」
そう言って伊藤先生は笑った。
男性の笑顔を間近で見たのは初めてだった。
「そうだな・・・折角来たんだ。
プリント返却しておいてくれないか。」
「分かりました。」
私は大量のプリントを持って職員室を出た。
仮設校舎に向かい大階段の近くまで来た時、強い風が吹いた。
「あっ・・・。」
パラリと風に煽られてプリントが飛んでいく。
片手でプリントを持つことも出来ずどうしたらいいものか思案していた時、
「ほら。」
後ろから耳に残る声がした。
「つい頼んだけど悪かったなと思って追いかけてきたら。
・・・お前、要領悪いな。」
伊藤先生はまた笑った。
「出来ないことは誰かを頼ればいい。」
「・・・そんな事出来ません。」
「どうしてだ?」
さっきは笑っていたのに、急に教師の顔で聞いてくる。
「お話できません。
・・・っ失礼します。」
私はくるっと踵を返して教室へ急いだ。
(あの笑顔は駄目・・・)
誰も助けてはくれない。
誰も信じない。
誰も・・・。
晴れた日は図書館に続く渡り廊下で食べることにしている。
食べ終わった後図書館で本の世界に浸るのが私の日課だけど今日は出来ない。
のんびり空を見つめながら食べ終えると私は職員室に向かった。
職員室の扉を開けると、タイミングよくすぐ近くに伊藤先生はいた。
「伊藤先生。」
「・・・質問か?
ちょっと待て。」
「あの、質問じゃなくて。」
「・・・?」
「伊藤先生に昼休みに職員室に来るように言われたんです。」
伊藤先生は一瞬考え込み私をまじまじと見た。
「名前は?」
「1年6組の須藤です。」
どうやら先生の記憶にはないらしい。
「済まない、呼び出した理由を教えてくれないか。」
そんなの私が知りたい。
申し訳無さそうに切り出す先生につい笑いそうになるのを堪えながら私は言った。
「授業中に余所見していて呼ばれました。」
「あぁ、それでか。
真面目な奴だな。
毎時間誰かに同じ事言ってるがちゃんと来たのはお前が初めてだ。」
そう言って伊藤先生は笑った。
男性の笑顔を間近で見たのは初めてだった。
「そうだな・・・折角来たんだ。
プリント返却しておいてくれないか。」
「分かりました。」
私は大量のプリントを持って職員室を出た。
仮設校舎に向かい大階段の近くまで来た時、強い風が吹いた。
「あっ・・・。」
パラリと風に煽られてプリントが飛んでいく。
片手でプリントを持つことも出来ずどうしたらいいものか思案していた時、
「ほら。」
後ろから耳に残る声がした。
「つい頼んだけど悪かったなと思って追いかけてきたら。
・・・お前、要領悪いな。」
伊藤先生はまた笑った。
「出来ないことは誰かを頼ればいい。」
「・・・そんな事出来ません。」
「どうしてだ?」
さっきは笑っていたのに、急に教師の顔で聞いてくる。
「お話できません。
・・・っ失礼します。」
私はくるっと踵を返して教室へ急いだ。
(あの笑顔は駄目・・・)
誰も助けてはくれない。
誰も信じない。
誰も・・・。