最初で最後の恋だから。ーセンセイー
一番最初は場所さえ知らなかった国語科準備室。

今はすっかり常連になってる。

「失礼します。」

先生は煙草を吸いながらこちらを見ている。

「目、まだ赤いな。」

「目薬差したんだけど・・・だめですか?」

「寝不足の原因は?」

「母に理解してもらうにはどうしたらいいか考えていたら眠れなくて。」

「不安なのか?」

「そうなんだと思います。
自分の意志を通して母を失うのが怖いんです。」

「馬鹿だな。
自分の意志を持つってことは成長の証だろう?
それを喜ばない親はいないよ。
今まで反抗したことがなかったなら戸惑うかもしれないが、きっと解ってくれる。
・・・頑張れ。」

言葉が私に沁み込んでいく。

先生がいてくれて良かった。
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