最初で最後の恋だから。ーセンセイー
放課後は図書館へ急ぐ。
今日は図書委員の初めての当番だった。
カウンターでの貸し出しと返却手続き、返却本の本棚への片付け。
中学生の時もやっていたのでスムーズだけど当番は二人制のはずだった。
(まあいいか・・・困らないし)
ガラガラッ。
重いはずの扉が軽く開き、そこには一人の男子生徒がいた。
「悪い、遅れた。」
業務が始まって一時間以上が経っている。
残り時間の方が少ない。
「何すればいい?」
カウンターでの業務は落ち着いていたので返却本の片付けをしようと思っていた。
「本の片付けをしようと思うんだけど。」
男子生徒に声が小さく震えた。
「聞こえないんだけど。」
男子生徒に一歩距離を詰められて私は後ずさる。
「俺、お前にそんなに嫌われてたっけ?」
「・・・?!」
私は彼を知らない。
彼も私を知らない筈だ。
「中井塾を覚えてないか?」
小学校の時に通っていた塾の名前だった。
目の前の男子生徒と記憶の中の少年は中々一致しなかった。
「そんなに変わったか?」
少年は塾のエースだった。
勉強が出来て優しくて、彼に憧れる女子は少なくなかった。
「いがぐり頭だったから。」
「あの頃は野球やってたからな。」
私は警戒を解いた。
少なくとも彼にいじめられた記憶はない。
あのままの態度は失礼だと思った。
今日は図書委員の初めての当番だった。
カウンターでの貸し出しと返却手続き、返却本の本棚への片付け。
中学生の時もやっていたのでスムーズだけど当番は二人制のはずだった。
(まあいいか・・・困らないし)
ガラガラッ。
重いはずの扉が軽く開き、そこには一人の男子生徒がいた。
「悪い、遅れた。」
業務が始まって一時間以上が経っている。
残り時間の方が少ない。
「何すればいい?」
カウンターでの業務は落ち着いていたので返却本の片付けをしようと思っていた。
「本の片付けをしようと思うんだけど。」
男子生徒に声が小さく震えた。
「聞こえないんだけど。」
男子生徒に一歩距離を詰められて私は後ずさる。
「俺、お前にそんなに嫌われてたっけ?」
「・・・?!」
私は彼を知らない。
彼も私を知らない筈だ。
「中井塾を覚えてないか?」
小学校の時に通っていた塾の名前だった。
目の前の男子生徒と記憶の中の少年は中々一致しなかった。
「そんなに変わったか?」
少年は塾のエースだった。
勉強が出来て優しくて、彼に憧れる女子は少なくなかった。
「いがぐり頭だったから。」
「あの頃は野球やってたからな。」
私は警戒を解いた。
少なくとも彼にいじめられた記憶はない。
あのままの態度は失礼だと思った。