最初で最後の恋だから。ーセンセイー
文化祭2日目も晴天だった。

朝からお客さんが来てくれて昨日より忙しかった。

「この分だとお昼前には完売かもね。」

「そうだね~。」

紗智と話していると家庭科室に行っていた汐見先輩が戻って来た。

「ゆずちゃん、紗智ちゃん。
午後はお出かけしておいでね。
多分、早めに撤収しちゃうから。」

「いいんですか?」

「茉莉花先輩、大好き~。」

紗智は午後から彼氏さんが来ると言っていたから喜びを隠さない。

(私はどうしよう)

クラスには参加していないし、一緒に回る人もいない。

考えて後、私は図書室で過ごすことを思いついた。

(午後からはそうするとして午前中は頑張ろう)

お客さんは小さな子供と母親が多かった。

ラッピングされた袋を手ににこにこしている。

「ひとつ、貰える?」

「はい。」

袋を手に取り、顔を上げるとそこにいたのはお母さんだった。

「お母さん・・・。」

母は袋を受け取り、お金を支払うと人混みに消えて行った。

「ゆずちゃんのお母さんだったの?」

「・・・うん。」

「お母さんね、多分朝からずっといたよ。」

紗智は少し離れた樹を指さした。

「こっちを見てたから誰なんだろうって思ってたんだ。」

「ごめん紗智、ここお願い・・・っ。」

私は人混みに消えてしまった母を探しに走った。

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