立花あかり~過去編~
第一章
ーあたしはずっと孤独だった。


両親は気がついたらいなかった。

誰もあたしのことを養ってくれない。

だから、あたしはいつもお店の食べ物を盗んで命を繋いでいた。

あたしは他の人とは違うから…皆からは化け物扱いされた。

道を歩けばいろんな人に石を投げつけられたりした。

皆あたしのことを嫌う。

あたしが狐の子だから。

たったそれだけの理由で。

あたしが他の人と違う点は3つ。

1つ目は自分の意志で狐から人間へ姿を変えることができること。そして、逆もまた然り。

でも、人間の姿になっていても耳としっぽは隠せない。どうがんばってもだめだった。

2つ目は魔法が使えること。といっても、自由自在に操れるわけではない。

ほぼ無意識に使っているからか、自分の身に危険が迫っているときしか使えたことがない。
それと、目に見える違いではないが、明らかに普通の人間より体力があった。

本来なら人間が届かない高いところにジャンプで飛び乗れるし、長い距離を走ったって疲れることはなかった。

そんなあたしの生活は困難を極めた。
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