立花あかり~過去編~
今まで通りの生活が続いた

…いや、少し違うのは、あたしがとってくる食材の量だ。

「ただいまー」

「今日は大量だな…兎3羽と鳩2羽か。今日のご飯は何にしようか…」

1回に3、4日分の食料をとってこれるようになった。

前までは狐の姿だったので、籠に木の実を入れ、兎か鳩を咥えて運んでいた。

けど、今は籠と袋を渡されるので、木の実を籠に、小動物を袋に入れて持って帰っている。

毎日森に行かなくてもいいようになり、あたしには暇な時間ができた。

そこでその空き時間に彼に基本的な読み書き、計算を教えてもらうことにした。

彼は快く引き受けてくれ、森に行かない日には彼の部屋で勉強をした。

あたしは覚えがいいらしく、彼もあたしの飲み込みの早さに驚いていた。

そしてもう1つ、魔法の扱い方も教えてもらうことにした。

彼はあの日、気を失う前に少しだけあたしが魔法を使うのが見えたらしい。

魔法の扱い方を知らないと、後々危険なことになりかねない、ということで彼から教えることを提案してきた。

それから何ヶ月かすると、あたしはある程度自由に魔法を操れるようになるまで上達した。

彼いわく、あたしはヒトより魔力が多いらしい。

彼は魔力の制御の仕方も教えてくれた。

それからは少しずつ屋敷にあった本を読んだりするようになった。

置いてあるほとんどの本が魔導書だったのは驚いた。

あたしがそれまで読んでいた本は、小説や昔の物語を置いてあった本棚に置かれていた本だった。

そのうち、その魔導書に書いてあることも知りたくなり、彼に魔導書の読み方も教わった。

魔法はたくさんの種類があり、どれも複雑で少し難しかったけど、覚えるのは楽しかった。

そんな生活に慣れてきた頃、彼は生活に必要なこと、炊事洗濯などを教えてくれた。

…いろんなことを知っているんだなー。

この魔物さん、結構家庭的なんだけど…。

それからはあたしも料理とかを手伝うようになった。

最初は下手で、彼が作る料理の方が断然おいしかったが、回数を重ねるごとに徐々に上達していった。

それでも、彼の作る料理には適わなかった。彼は鳥肉と野菜のポトフやあたしの知らない料理を作ってくれた。
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