HAZY MOON
今日は父と母の元を訪れたからだろうか。


その夜は、久しぶりに幸せなあの夢を見た。



幼いわたしと母と父で行った動物園。


ライオンの檻の前で泣きじゃくっていたわたしを、抱いてくれる温かい腕。


大好きだったハル。
顔は覚えていないけど、腕の温もりは覚えている。


「ハルっ。抱っこ!」

駆け寄ったハルに飛び付いたら、笑いながら抱き上げてくれる。







「っ!!」


気がつけばベッドから飛び起きていた。
ずっと思い出せなかったハルの顔が今、鮮明に脳裏に蘇っていく。



「……違う」



そして一つの確信を抱く。
ずっとわたしの心の支えだった思い出。
それを、確かめる為に、わたしが向かった場所。


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