HAZY MOON
「夕希とは籍を入れてない」
「……えっ?」
「夕希は、雅晴の思い出を共有する相手を求めてた。……雅晴の代わりに愛して欲しいわけじゃない」
梶先生の瞳に悲しみの色が混じり、わたしは吸い込まれるようにそれを見つめ続けた。
「夕希が、雅晴の実家に居るのが辛いって……だから再婚って形で家を出ることにした。ただ」
「わたし……」
座ったままの梶先生が、正面からわたしを見上げ、頬に触れた。
「……引き取ってやれなくて悪かった……ごめんっ」
頬に触れた梶先生の手に、自分の手を重ねる。
上手く出てくれない声の代わりに、何度も首を振って否定した。
「これを付けたら……雅晴みたいになれるって、信じてた」
「もうやめてっ。梶先生っ」
父と母の結婚指輪を握り締める梶先生から、指輪を取り上げた。
この十二年、梶先生はずっと……亡くなった親友との約束を必死に守ってくれていたんだ……。
「お父さんのせいで……梶先生の人生狂わせた……。ごめんなさいっ」
「雫希……?」
泣くつもりなんて無かった。
でも、涙はわたしの感情に忠実に溢れてくる。
心配そうな梶先生の顔が、わたしの手を握った。
「お父さんのせいで……梶先生の人生狂わせた……。ごめんなさいっ」
「雫希……?」
泣くつもりなんて無かった。
でも、涙はわたしの感情に忠実に溢れてくる。
心配そうな梶先生の顔が、わたしの手を握った。
「……えっ?」
「夕希は、雅晴の思い出を共有する相手を求めてた。……雅晴の代わりに愛して欲しいわけじゃない」
梶先生の瞳に悲しみの色が混じり、わたしは吸い込まれるようにそれを見つめ続けた。
「夕希が、雅晴の実家に居るのが辛いって……だから再婚って形で家を出ることにした。ただ」
「わたし……」
座ったままの梶先生が、正面からわたしを見上げ、頬に触れた。
「……引き取ってやれなくて悪かった……ごめんっ」
頬に触れた梶先生の手に、自分の手を重ねる。
上手く出てくれない声の代わりに、何度も首を振って否定した。
「これを付けたら……雅晴みたいになれるって、信じてた」
「もうやめてっ。梶先生っ」
父と母の結婚指輪を握り締める梶先生から、指輪を取り上げた。
この十二年、梶先生はずっと……亡くなった親友との約束を必死に守ってくれていたんだ……。
「お父さんのせいで……梶先生の人生狂わせた……。ごめんなさいっ」
「雫希……?」
泣くつもりなんて無かった。
でも、涙はわたしの感情に忠実に溢れてくる。
心配そうな梶先生の顔が、わたしの手を握った。
「お父さんのせいで……梶先生の人生狂わせた……。ごめんなさいっ」
「雫希……?」
泣くつもりなんて無かった。
でも、涙はわたしの感情に忠実に溢れてくる。
心配そうな梶先生の顔が、わたしの手を握った。