HAZY MOON
「こんなのっ、要らないっ」


朝から祖母、尊に続いて極めつけがこれだ。


渡されたメモを投げ捨て、気が付けば美術室から飛び出していた。


真っ白だった頭の中は、不明瞭にぐちゃぐちゃと濁っていく。


母を夕希と呼ぶ梶先生の口調は、妙に親しみが込められていた。


不明瞭な頭の中に、浮かんでは消える考えから必死で目を逸らす。


例えそれが事実であったとしても、今はまだ……受け入れる勇気など到底持てそうに無かった。

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