JOKER
「あー、多分記録つけるのとか大変だからかな。


樹里ってどっちかって言うと、飲み物渡したりする方がむいてるみたい。」


あたしは少し苦笑気味で言った。



「飲み物渡す方が簡単で楽そうに見えるしな。」


眠そうに欠伸をしながら言う佐伯。案外毒舌……


「んー。そうでもないよ。人数分あるかちゃんと確認しなきゃだし。足りなかったら買いにいかないとダメだしね。」


わざわざ足りない分をスーパーに買いに行くならまだ記録をつけてる方がマシかと思う。


少しずつ通学路には同じ制服を着た子が現れはじめた。


「あー、樹里だ。」


あたし達より100メートル程前に歩いている樹里の姿が見えた。


樹里の横には、璃空が居た。


「璃空もいるな。あの2人付き合ってるのか?」


佐伯が聞いてきた。


璃空と樹里って付き合ってるっけ?
樹里が璃空を好きなのは知ってるけど、
璃空が樹里を好きって言うのは聞いた事ないな。


まあ、恋バナ自体あたし達はしないから当然か。


「わかんない。あたしと璃空って恋バナとかしないから。

琥珀達もそうでしょ?」


あたしは手に息を吹き掛けながら言った。


もう、5月とは言え、寒がりのあたしにとってはまだ寒い季節だった。


「そういえばそうねー。あたしと悠斗が恋の話してたらそれはそれでおもしろいとは思うけど、した事ないかもね。」


琥珀は前に歩く樹里達を見ながら言った。


「琥珀の場合は人の三角関係とか、人の恋愛見るのが大好きな奴だから恋バナとか絶対しねぇよ。」


佐伯は呆れたように琥珀を横目で見ながら言った。
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