JOKER
「顧問が呼んでたで。」


桜木はあたしにそう伝えてくれた。
顧問があたしに用?なんだろ。


「ん、樹里はもう行った?」


「いや、確かあいつは呼ばれてなかったはず。」


何でだろ…。マネージャーはあたしと樹里なのにあたしだけが呼ばれるとか……。
あたし何か悪い事したっけ?不安が募りながらもあたしは琥珀達と途中で別れて職員室にむかった。


朝の職員室はコーヒーの匂いがたくさんしている。あたしは、職員室に入り顧問の先生のところまで行った。


「先生、どうかしたのですか?」


あたしがそう聞いた時、顧問はあたしの書いた記録ノートの保存用を険しい顔で見つめていた。


もしかして、記入ミスがあったとか?あたしはそう頭の隅で考えながら先生の反応を待った。


「片桐。今回の大会で1番の優勝候補の学校どこか知ってるか?」


いきなりそう聞かれた。今年の優勝候補の学校は確か月野学園だったはず。


「確か月野学園です。」


月野学園は運動部がほとんどと言ってもいいほど全国大会に出場している。


「これが月野学園で期待の選手だ。」


先生が机の上に紙を置いた。その紙にはいろいろ細かく書かれていた。


「西沢 陸っていう男子生徒が強い。今、思えば片山と下の名前が同じ。」


先生はそんなくだらない事を言っていたけど、あたしはあえて無視した。


< 5 / 13 >

この作品をシェア

pagetop