黒の村娘といにしえの赤鬼

夕食の時間になると父さんが外であった出来事を話してくれる。
春になり、食材も豊富になって食卓に花が咲いていた。
会話も弾んで楽しく過ごしていたけど、ふと父さんの食器をみるとあまり夕食に手がついていないようだった。
そういえば今朝咳をしていたし、やっぱり体の調子が良くないのかもしれない。

「父さん、食欲ないの?」
「うーん…少しな。疲れが溜まっているのかもしれない。早めに休むとするよ」
「その方がいいわ」

そう言うと父さんは箸を置いて、寝床についてしまった。

普段風邪を引かない父さんが珍しいな…と思いながら夕食の片付けをして、私も寝床についた。
< 11 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop