黒の村娘といにしえの赤鬼

「…父さん!」

家について玄関の戸を開けると、父さんはうなされて寝ていた。
高熱を出しているみたいで汗もすごい。

「娘さんですか?」
「はい。父は…」

医者が診てくれていたようでとりあえず一安心した。
だけど医者は難しい顔をして私に向き合った。


「どうやらただの、風邪ではなさそうです。原因や病名ははっきりしないので様子をみておいてください。後日また診にきます。薬が効いてくれればいいのですが…か」
「そうですか…ありがとうございます」


医者に頭を下げて見送ると、寝ている父さんの元へ向かった。

額の手ぬぐいを取り替えて乗せて、取り替えて乗せて…。
薬を飲ませると少し落ち着いたのかやっとすやすやと眠りについた。
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