黒の村娘といにしえの赤鬼
第二章 鬼仙草と赤い鬼
父さんが寝込んでしまってから私はひとりで畑に行き、野菜を収穫し、父さんの看病をするといった生活を繰り返していた。
村の人に商売は任せて、午後は常に父さんの側で過ごしている。
しかし一向に体調は良くならない。
医者が来て診てくれているけれど、やはり原因は分からないそうだ。
もしかしたら不治の病かもしれないと告げられた時は顔が青ざめた。
このまま苦しみながら過ごすことしかできないのか。
父さんは…死んでしまうのか。
最悪な考えが頭に浮かんだ。
体が丈夫で大きな病気もしなかったあの父さんが弱弱しく息をするだけ…。
これが定めなら受け入れるしかないのかと後ろ向きに考える事しかできないでいた。