黒の村娘といにしえの赤鬼
「鬼仙草…鬼仙草は…っうわぁ!」
ぼーっとしながら歩いていると突然大きな石に足をぶつけて転んでしまった。
派手に転んでしまったようで、どうやら捻挫してしまったらしい。
「はぁ…今日はここまでにしようかな」
これ以上は無謀だと思い、帰ろうと勢いよく立ち上がると足に激痛が走った。
よく見てみると見事に腫れていて、一歩足を踏み出すのも辛い。
これでは帰るのが困難だ。
それに周りを見渡してみるといつの間にか竹林の中に迷い込んでいたようだ。
あれ…そもそも竹林なんてこの山にあっただろうか。
もしかして…私も知らない遠いところまで来てしまったのだろうかと不安になる。
風が吹くと竹の葉がざわざわと鳴って余計に私の不安感を煽る。
「でも来た道を戻れば帰れるよね…って来た道ってどこだっけ」
これが八方塞がりということなのだろうか。
「と、とりあえず後ろを向いてまっすぐ歩けば戻れるよね?」
そう思って足を引きずりながら歩いていく。
片足を庇いながらの歩行は思ったよりもきつい。
それに疲労も蓄積されていて、どうしても集中して歩けない。