黒の村娘といにしえの赤鬼

家に帰り、鬼仙草を飲んだ父さんは日に日に元気になっていった。
飲んでから三日もすると外に出て畑仕事もできるようになったから鬼仙草のすごさが
よくわかった。
父さんにはよく見つけられたと褒められ嬉しかったけど、どこで見つけたのかという質問には答えられなかった。

あの日会った赤い髪の鬼に言うなと言われているから…。



鬼仙草を見つけた日からもう五日…。

私はあの鬼の事が頭から離れなかった。
村へ襲ってくる事もないし、寧ろ手当てしてくれて、鬼仙草も分けてくれた。
もしかしたら本当は優しい種族なのではないか、人間を襲うつもりなんてないのではないか、そう思い始めていた。

そこで私は父さんがいない午後にもう一度山に登ってみようと考えた。
もう来るなと言われたけどお礼もしたいし、話もしてみたい。
今まで人間が勘違いしていた歴史が変わるかもしれない。
そう思ったらいても立ってもいられなくなった。
< 25 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop