黒の村娘といにしえの赤鬼
第三章 鬼の村

進んでいくにつれて竹林の深さはどんどん険しくなる。
一体この先に何があるのだろうと気になりつつ、音を出さないように慎重に進んでいく。

すると二人の姿が急に下に下がって行くのが見えた。
ずっと真っ直ぐに歩いていたのに、どうしたのだろうか。

私は見失わないように駆け足で後を追うと、目の前には驚きの光景が広がっていた。


「何…ここ」


竹林に囲まれた中に、まるでおとぎ話の中に出てくるような幻想的な集落があった。
あの二人が入って行ったというとするとここは鬼が暮らす村なのだろうか。

村と言っても私たちの住む村より何倍も大きい。
いつか父さんに聞いた京の都のように大きな建物がいくつもそびえ立っている。
極め付きに一番奥には小夜の家のような大きな屋敷が見えた。
人間と同じように鬼の頂点に立つ人が住んでいるのだろうか。

とりあえず周囲を気にしながら階段をそろそろと下まで降りてみる。
入口と思われる門には警備をしているだろう二人組がいた。
これまた色とりどりの髪色と瞳だ。
私が堂々と行ってしまっては人間だとすぐにばれてしまうかもしれない。
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