黒の村娘といにしえの赤鬼

「珠々、洗い終わったかい?」
「うん、ばっちりよ」

汗が光る顔が眩しいほどに輝いていた父さん…楠木 千之助(くすのき せんのすけ)は日焼けした小麦色の肌が特徴。力仕事だからがっちりした体格見られがちだけど、実際は細身で弱々しそうな外見だ。


私は洗い終わった野菜をかごの中に入れ、台車に運ぶ。

「ありがとう。…それじゃあ行ってくるよ。…ごほっ、ごほっ」
「父さん?風邪でも引いたの?」

急に咳き込むのだから心配になって声をかけた。

「大丈夫大丈夫。むせただけだよ。遅れるといけないから行くね」
「分かった、無理はしないでね。…いってらっしゃい」


何だか体調が悪そうな父さんを見送る。
何事もなければいいと願いながら台車を引く父さんを見つめた。
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