黒の村娘といにしえの赤鬼
小夜の家は周りが木々に囲まれた場所にある。
私の家よりも何倍にも大きくて立派なお屋敷だ。
お手伝いさんも何人もいてさすが一条家…と来る度に感心してしまう。
「お帰りなさいませ、小夜様」
「戻ったわ。珠々を連れてきたからお父様を呼んでちょうだい」
「かしこまりました」
そう言ってお手伝いさんは家の奥へと戻って行った。
「珠々、離れに行って待っていましょう」
「うん」
小夜のお父さん、一条秋彦(いちじょう あきひこ)は村の村長。
また鬼の伝説を風化させない、守るために一人娘である小夜に口うるさいほど語っているらしい。
私は昔からお世話になっているから良くしてもらっている。
長身で見た目もかっこいいから若い頃はたくさんの女性にモテていたとか。