鬼羅 〜最弱の暴走族〜

｢ふぅん..それなら尚更。何故戦わない。｣





｢きらにぃを見てきたからだよ。


あの人は無駄な血を流させないし自分で流すこともしない。

自分の仲間を守る時にしか拳を使わないんだ。｣




｢”無駄な喧嘩はしない”ってことね。｣




｢そういうこと。｣





俺が話切ると、長谷川はもう1度｢ふぅん｣とだけ呟いた。






｢..それにしても随分赤裸々ね。初対面、それに私はあなた達の天敵，碧緋の姫なのに。｣




｢俺は聞かれたことに答えただけだよ。まあ少し無駄話もし過ぎたけど。｣





確かに長谷川は碧緋の姫で、俺達の敵だ。
けれど何だか... 何だかこの人には話してしまえた
そして、何か俺よりもずっと重い闇を抱えてるような気がして...放っておけなくなったんだ。


今はまだ、この気持ちの正体は 心の奥底に仕舞うことにしよう