生きてあなたを愛したい
泣いたのなんていつぶりか。





「優雅…。葉月ちゃんは病気なんかに負けない。皐月が言うくらいなんだから…間違ってないでしょ。ほら、行くぞ。」



薫はいつの間にか戻ってきていた藍音と俺を引っ張って、手術室の前に連れてきた。









「優雅が信じてやんなくてどうするわけ。」


薫は呆れたようにそう言って、みんなに電話してくるから…とどこかへ行ってしまった。






死ぬなよ、葉月。

俺は葉月以外の女には興味ねぇから…お前がいないと、俺一生独身じゃねぇか…。




「優雅…、葉月って好きなもん何か知ってる?」




は?そんなもん…葉月の好きなもんっつったら…


「……みかん…?」


「それって、果物の?お菓子の?」

「お菓子」


みかんジュース、みかん味の飴、みかん味のガム…みかん味の…


今思ってみればあいつ、みかんばっかり食ってたな〜。






そう思うと自然と面白くなって、笑がこぼれた。





「優雅、やっと笑ったな」



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