生きてあなたを愛したい




葉月は唸ってから、文句言わない!とでも言うかのようにしょうがない!と言った。


「もう出来ちゃったから。」




お腹に優しく手を当てて愛おしそうに撫でる。




あなたにも抱っこしてもらうからね。
そう言った葉月に、真っ青になる柊雅。



その光景が何だか面白くて、いつの間にか俺は声を出して笑っていた。






「ははっ…」







「んな、なに…」




柊雅は戸惑うように言った。




「誤解していた。すまなかったな」


「あっ…兄貴…、ごめん…」


「なにが?」




「兄貴が中学の頃付き合っていた女…」






「あぁ…あれな。あれは別にいい。むしろ感謝してるくらいだ」



あれは半ば脅しのようだった。

一般人の女に脅されても、何も恐れはないが、あしらうのが面倒だった俺は、了承し、付き合った。




特に何をするわけでもなく、女は俺と付き合ったことを誇らしげに周りに言いふらしていた。



名前さえ知らない女だ。

ただ、俺の地位目当てだったんだろう。
自分の株を上げたり、周りから羨ましがられたかったんだろう。


別にどうでもよかったから、俺には関係の無いことだったから、適当にやっていた。







< 178 / 323 >

この作品をシェア

pagetop