生きてあなたを愛したい
葉月は唸ってから、文句言わない!とでも言うかのようにしょうがない!と言った。
「もう出来ちゃったから。」
お腹に優しく手を当てて愛おしそうに撫でる。
あなたにも抱っこしてもらうからね。
そう言った葉月に、真っ青になる柊雅。
その光景が何だか面白くて、いつの間にか俺は声を出して笑っていた。
「ははっ…」
「んな、なに…」
柊雅は戸惑うように言った。
「誤解していた。すまなかったな」
「あっ…兄貴…、ごめん…」
「なにが?」
「兄貴が中学の頃付き合っていた女…」
「あぁ…あれな。あれは別にいい。むしろ感謝してるくらいだ」
あれは半ば脅しのようだった。
一般人の女に脅されても、何も恐れはないが、あしらうのが面倒だった俺は、了承し、付き合った。
特に何をするわけでもなく、女は俺と付き合ったことを誇らしげに周りに言いふらしていた。
名前さえ知らない女だ。
ただ、俺の地位目当てだったんだろう。
自分の株を上げたり、周りから羨ましがられたかったんだろう。
別にどうでもよかったから、俺には関係の無いことだったから、適当にやっていた。