生きてあなたを愛したい
力なく俺が笑うと、その場の誰も何も言わず、ただ悔しそうに顔を歪めているだけ。
どれくらいだっただろう。
一分一秒がすごく長く感じる。
「…優雅」
如月先生の低く、そして酷く落ち着いた声が兄貴の名前を呼ぶ。
「風翔さん…っ、葉月は!!!?腹の子は…!?」
その場にいた皐月君、如月先生、俺以外が耳を疑った。
兄貴は取り乱して如月先生の腕をつかむ。
如月先生は徐々に顔を歪めて、兄貴の胸ぐらを掴んだ。
「どうしてこうなった!!!もうこうはならないと…
前に葉月が運ばれた時お前は言った!!!
…もう二度とこんな目に遭わせない。だから信じてほしい。
って…だから俺は葉月のことをっ!!!」
兄貴も詳しい状況が分からないままだったから、如月先生の言葉に、葉月の容態はいいものでは無いことを悟る。
「風翔くん…葉月の…容態は……」
親父が如月先生の肩に手を置いた。
如月先生は我に返ったように、兄貴の服から手を離した。