生きてあなたを愛したい
今まで葉月の病状の説明を断ってきた優雅。



俺も一緒で、葉月が生死の境を彷徨っていることを…現実を…受け入れたくなかったのかもしれない。



俺と優雅は風翔さんと一緒に、談話室に入った。



見せられたのは『重症頭部外傷』と書かれた紙と、『8週妊婦 下條葉月』と書かれた紙。



「まずはこっち。
『重症頭部外傷』…これは…手術後にも少し言ったけど…
葉月の場合、脳挫傷、頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫、後頭部挫創が見られた。
CT撮影、それから頭部頸部のレントゲンも撮った。
搬送時の意識レベルは3桁、瞳孔所見は搬送時には瞳孔不同が見られたものの、手術後には落ち着いた。
運動麻痺の有無は葉月の目が覚めてからではないと分からない。」




よく分からなかったけど、深刻で。

風翔さんは紙を俺達の方に向けた。


「今は脳腫脹が…あ、脳の腫れな。があって、頭蓋骨を一部嵌められていない。」


風翔さんは紙に書かれている文を、指で追っていきながら説明をしてくれた。





「脳腫脹の改善には数週間かかる見込みであり、また左前頭葉及び左側頭葉への直接損傷は、失語症が危惧される…意識が回復し、言語の表出が可能にならなければ評価できない神経症状もある」
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