生きてあなたを愛したい
風翔さんはそう言って、一旦間を置き、ため息をこぼした。
「俺だって辛いんだ。…何百と所見を説明してきた…。けど…身内の所見を説明することほど辛いことはない…」
優雅と俺の頭に手を置いて、困ったように笑う風翔さん。
「「はい…」」
「あぁ、ごめん」
風翔さんはポケットに入れていたスマホを取る。
「もしもし?」
しばらくすると、顔色が変わる風翔さん。
「それで…っ?あぁ、分かった!」
通話を切って、言った。
「目ぇ覚ましたぞ!!!」
「「!!!」」
さっき、「目覚めるかは葉月次第だ」とか言ってた。
信じてよかったんだ…葉月っ…!
隣にいる優雅に目を向けた。
その瞬間、張り詰めた糸が切れたかのように、優雅の意識はフッと飛んだ。
「あぁっ、おい!!!」
俺は慌てて受け止めた。
風翔さんと一緒に抱き抱え、ソファーに寝かせた。
「おいおい…お前が倒れちゃ意味ねぇだろ?…お前、葉月に会うのは1週間後な。それまで安静にしてろ。痩せすぎ。」
「なっ…ちょっと安心して…っ」
「だめ!!!お前、そこまで葉月に依存してたのか…」
風翔さんに反論しようとする優雅を止め、俺は呆れたように言った。
「…あと1週間も会えない方が死ぬ…」
そう文句を言いながら起き上がろうとする優雅を抑えた風翔さんは、スマホで優雅の親父さんに連絡をして、組の人に迎えに来てもらった。
「じゃ、頼んだ。絶対に家から出さないで」
「分かりやした!!!」
迎えに来た組員は親指を立てて、ぐっと前に突き出した。