生きてあなたを愛したい
「…」
「いつ死んでもおかしくないって笑顔で言うくせに、腹の子ちゃんと守って…さ。生きてねぇと産めねぇんだから…、いつ死んでもおかしくないなんて笑顔で言うなよ…。強がりだよな…」
そんな事があったのか…。
詩音は葉月の手を握った。
詩音が極度の女嫌い、人嫌いで、なかなか人を受け入れない性格なのは結構前から知っていた。
俺だって、初めてあった日は化物でも見るかのような目で見られた。
そんな詩音が、女に「死んで欲しくない」そう言って手を握っている光景がなんか不思議だった。
ーガラッ…
扉が開いた。
誰だ、と見る前に葉月を見た。
天井をただ、ぼーっと見つめていた葉月は、ゆっくりドアの方を見た。
俺と愛二と詩音は言葉を忘れた。
そして何度か、葉月は瞬きを繰り返した。
入ってきていたのは優雅だった。
「…ゅ…」
スゥっと息を吸って、喋る…!と思うと、葉月の口から出たのは掠れた、優雅を呼ぶ声。
「ゅ…う…」
久しぶりに見る優雅。