生きてあなたを愛したい


葉月は残念そうに肩を落とした。

「失礼します」




開いた扉を軽くノックをして、病室を覗いたのは鬼頭先生。

親父達に軽く会釈をして、葉月に言った。





「今日の心電図で異常が無かったら、一時退院が出来るよ。リハビリは定期的に来てもらうけど…。どうする?」


「本当ですか!?かっ、帰ります…」



信じられない…と言うような面持ちでそう言った葉月を、鬼頭先生は、面白いな…と呟き、頭をポンポンと撫でた。





「よく頑張りました」

「…っはい!」



鬼頭先生は、じゃあ、検査の時に呼びに来るね、と言って出ていった。


嬉しそうに俺の顔を見上げる葉月に、俺は笑って「よかったな」と言った。
< 247 / 323 >

この作品をシェア

pagetop