生きてあなたを愛したい
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「あ、葉月さん!もう大丈夫?」


森谷先生が、保育器のところから葉月の方へ駆け寄ってきた。


「今、様子を見に来ていたところなんだ」



葉月の表情は緊張していて、俺がほっぺたをつつくと、びくっと揺れた。


「ははっ落ち着けよ」

「おおおお、落ち着いてるっ」




NICUの先生が手招きをしてくれて、葉月はゆっくりと保育器に近づいた。

俺は葉月を支えながら。


保育器の中を覗くと、うつ伏せになって目をパチパチさせている、小さい赤ちゃんがいた。



「可愛い…っ小さいね…」


葉月は優しく笑って、音を立てないように、保育器をトントンと触れるように触った。


「触ってあげてください。」

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