生きてあなたを愛したい

NICUの担当医の三神先生が、保育器の戸を開けた。

葉月は恐る恐る、赤ちゃんの頬に触れた。


葉月に、母親に触れられたことが分かったのか、「ふぇっ」と声を上げた。


俺と葉月は、「おぉ…」と声を漏らした。

三神先生はふふっと笑いながら言った。



「これはすごく不思議なことなんですけど、赤ちゃんはお母さんやお父さんが近づくとなにか、反応を示すんですよ。まだ目が見えていないのに、凄いですよね…」



葉月は、そうなんだ…とまた手に触れる。

今度は、ギュッと握り返してきた。


葉月は嬉しそうに俺の方を見た。




「葉月」

風翔さんが葉月を呼んだ。
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