生きてあなたを愛したい
「2人は仕事に戻れよ」
2人はチラチラと振り返りながら、組長室に戻っていった。
その日、退院祝いの宴会が開かれ、羽悠は組員たちにバケツリレーのように抱かれ、泣きじゃくっていた。
葉月の腕に戻ってくると、落ち着いて、またスヤスヤ眠る。
葉月は羽悠の寝顔を優しく見る。
「若、若姐」
羽悠がいるからか、トーンは低めで遠慮がちに俺たちの前に正座をした男。
「なんだ、怜(レイ)じゃないか。戻ってたのか」
「はい。迷惑かけました。」
怜は堂島の構成員、組員だ。
最近まで、刑務所に入っていた。
親父が、他組の組長を射殺した。
無差別に、という訳では無い。
そこの組長が、無差別に人を殺していた。
怜は身代わりで刑務所に入った。
このシステムには疑問を感じているけど、組のドンを失えば崩壊するから、仕方ないのかもしれん。