生きてあなたを愛したい
「そういえば、葉月はお酒が飲めるんだな」
「あぁ、まぁ…強くはないですが…」
「そうか?…これ、結構度数が強いんだよ笑…顔色が変わっていないね」
いつもの威圧感のない弱々しく、悲しい雰囲気。
「よく、皐月と飲んでたんです…。あ、皐月っていうのは」
「葉月の双子の兄貴だろ?優雅から聞いていたからね。昔はよくここにも遊びに来ていたんだ…」
そうか。そうだったね。
「皐月も、葉月に似て俺に物怖じしなかったな…。君たちは顔も雰囲気も、性格も…よく似ているね…。」
「よく…言われます」
私が笑うのとは逆に、雅人さんの顔は強ばった。
「何か隠しているね。皐月も隠し事をする時はその笑顔だ。…優雅と悪さをして、俺にバレた時、いつもその笑顔で逃げる」
だめだ…。
笑い方、変えようかな…。
「葉月。葉月は皐月がどこにいるのか知っているかい?」
「ぇっ…?」
心臓の音が嫌に大きい。
「……実はね…」
雅人さんが椅子からおりて、私の前に正座をした。
「皐月を…組同士の抗争に巻き込んでしまった…」
「えっ?」
何を…
「それで…銃で撃たれた。」
何を言って…
「今、植物状態で眠っている」
あれっ…?なんで…?
あれ…?
おかしいな…どうして…?
「皐月が意識を失う直前、俺に言った。みんなには言うな、と。だから…黒龍や学校には失踪した、ということになっている…」
「雅人さん」
「…」
「私……そこに、」
ーガラッ
「葉月、ここにいたのか」
「「優雅…!」」