お姉ちゃん、ごめんね…
5月。私はこの季節が好き。
桜が終わって、緑の葉が風に揺れている。

緑の香りと、花の香りが混ざって甘くて爽やかな香りが大好き。


久しぶりに実家に行くとお母さんがたくさん料理を作ってくれていた。


ご飯ができる匂いも大好き。


「お母さんっ」

ご飯を作っているお母さんに後ろから抱きついた。


こんな事何年ぶりにしたんだろう。

お母さんの匂いって何年ぶりだろう。
私より少しだけ背の低いお母さん。

「なにっ、ちょっと危ないでしょ。どーしたの?子供みたいに。」

お母さんも嬉しいんだね。

とっても綺麗な笑顔だよ。



「まだ子供だもんっ。ギリギリ♪」

そう。今日は誕生日の前日。
両親が祝ってくれると言ってくれたので帰ってきた。


「何言ってるの。いくつになってもお母さんの子供よ。たまには甘えていいのよ。」


充分甘えてるよ。
お父さんとお母さんが見守ってくれてるから、私は頑張れてる。

どんなにかつかつな生活でも、お父さんとお母さんがたまにお城に来てくれた形跡を残してくれてるから。
だから、甘えてるよ。


「本当に家賃自分で払える?お給料少ないんじゃない?」

「大丈夫だよ。ちゃんと貯金もできてるから。とりあえずやってみるから。心配しないで」


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