お姉ちゃん、ごめんね…
「ゆうなベッド借りるね」

走りながら二階に上がり、バタンっとドアを閉めた。



「あらあらっ。まりな〜大丈夫?お腹空いたら降りてきなさいよ〜」

二階のお姉ちゃんに向かって大きな声で優しく母はそう言った。


「そのうち仲直りするわ。そっとしておきなさいね。ゆうな。」


大人に見える23歳のお姉ちゃん。

彼氏に怒って帰ってきたお姉ちゃん。


私のベッドで、ケータイを握りしめながら涙の跡が残る悲しそうな顔。

こんなお姉ちゃんもいるんだと、少し弱ったところを初めて見た、私と変わらない同じ女の子なんだなって思った瞬間だった。



なんでもできると思っていた。

私なんかより母からの評価は高く、とてもお姉ちゃんみたいになれないと憧れた存在だったのに、なんだ…

お姉ちゃんでも悩みがあって、怒って、泣くんだ!!っと少し近くに感じた。

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