お姉ちゃん、ごめんね…
元気のないお姉ちゃんは黙って母のご飯を食べる。


「まりなの好きな玉ねぎのマリネ。いる?」

「うん…」


元気はないけど、箸は進んでいる。

チラチラとケータイを気にしている。
まだ彼氏から連絡ないのか、鳴ってもいないケータイばかり気にしている。


「ただいま〜〜♪」

お父さんが帰ってきた。


コンビニに寄ったのか、何かを冷蔵庫に入れに行った。


「たまにはお母さんのご飯食べて少しゆっくりしたら帰るんだぞ。」


優しい口調だったけど、私には帰るんだぞって言葉が怖く聞こえた。


「ごちそうさま…」


お父さんと目を合わさず、ケータイを握ってまた私の部屋に向かって行ったお姉ちゃん。




せっかく、元気ないお姉ちゃんがご飯食べてくれてたのに、何でお父さんはあんなこと言ったんだろ!


まったくわからなかった。





このお父さんの気持ちがわかったのは、私がだいぶ大人になってから。


< 8 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop