いつか、雲一つない青空に雨が降ったなら。
「誰ですか。」
「僕は月読命です。」
いつもお供え物ありがとうございます。と付け加えてにこりと笑った。
我が神社にはふたりの神を祀っている。
天照大御神。そして、月読命。
月読命とは天照大御神の弟にあたる神だ。
私は神に仕える父の娘、ということになっているが実際目に見えるものしか信じない主義だ。=神なんているわけがない。
「冗談はそこまでにして頂きましょうか。
ここはあくまで神社で仮にも私は神主の娘です。」
そう言うとその人は私に言ったのだ。
そして魅せた。
「目に見えるものしか信じないのでしょう?」
その言葉の後にぶわっと風が踊る。
雨は止み、虹ができた。
それは一瞬の事で、でも時が止まったような時間で、なにより綺麗だった。