午前0時のシンデレラ
不審者でも見るような顔つきに、自分の社のトップも知らないのかと思う。
「俺は、この会社の……」
言いかけたのを、
「ごめんなさい、急いでるんです! もう終電がなくなってしまうんで!」
駆け出して行ってしまう。
「おい、待てって……!」
追いかけようとした時、ガタっという音と、「あっ…」という声が耳に入った。
数段を降りて行ってみると、折れた片方のハイヒールを手にして、彼女が呆然としていた。