午前0時のシンデレラ

駅まで一緒に向かうと、

「まだ、終電があるので帰りますね」

地下鉄の降り口で彼女が言う。

「ああ、気をつけて帰れよ…」

もう一回、抱き締めてキスをしたいと思うが、いい加減にした方がいいよなとも感じて、伸ばしかけた手を引く。

階段を降りようとした彼女が振り向いて、

「……今夜は、ありがとうございました。嬉しかったです……とっても」

と、微笑んだ。

その笑顔に、キスをしたい衝動が抑えられなくもなる。




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