午前0時のシンデレラ

「……信じられないな。あの女泣かせなおまえが……」

「誰が、女泣かせだ…」

「バカ、これでもおまえが別れた女に、何度も相談を受けたことがあるんだよ」

三枝の話に、「……マジかよ」と、驚きが隠せない。

「ああ、けっこう泣いてる子もいたんだぜ?」

「……知らなかった」

と、息を吐く。

「…な? 女泣かせだろうが」

反論もできずにいると、

「だから、そんなおまえが、そこまで一途に彼女を思ってるのかってさ……」

三枝はフッと笑って、

「でも、いいんじゃないか? 気持ちをとことんまで突き詰めてみるのも……そういう本気の恋も、そろそろおまえもした方がいいと思うしな…」

グラスの酒を飲み干した。

「……本気の恋、か…」

自分もグラスを空けて、呟く。



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