午前0時のシンデレラ

「……部屋で、こんな服を着るなんて……」

はにかんでうつむく彼女に、

「……綺麗だ、とても」

言って、足元ににじり寄り、その頬に手を伸ばした。

「……恥ずかしいです……」

飲んでいたグラスを置いて、

「…いいだろ? それが、一番綺麗なんだから…」

頬に手をあてて、顔を近づける。

「だけど……」

と、うつむくのを、

「…メガネ、はずせよ」

片手でメガネを取って、彼女の頬にキスをした。

「……好きなんだ」

湿った髪に手を挿し入れて、

「……もう、手放したくないんだ……」

耳元に囁きかけた。



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