午前0時のシンデレラ
「そんなに恐縮しなくてもいい。俺は、堅苦しいのは性に合わないんだ。そうと決まれば、行くぞ」
そのまま階段を降り出すと、急に彼女が足を止めて、身体がくっと引き戻された。
「……なんだよ?」
顔を向けると、
「あの…手を、離していただいても……」
言われて、自分が無意識のうちに手をつかんでいたことに気づく。
「あ…悪い。急いでいたから、ついな…」
パッと手を離すと、
「ちゃんと付いていきますから、大丈夫です」
彼女は言って、ふわりと微笑んだ。
地味目にも感じていた顔に、柔らかな笑い顔が不意に広がって、思わず魅かれそうにもなる。