午前0時のシンデレラ

「立って…ほら」

先に立ち上がって、ソファーの彼女に手を差し伸べる。

「でも、部屋の中で靴を履くなんて……」

差し出した手に、彼女が手を添える。

「その靴は、あの会場でしか履いてないんだから、そんなに汚れてもいないだろう」

ソファーを立つ彼女の手首を片手でぐいと引いて、そのまま腕に抱き締める。

「……もう、ずっと俺と……」

言えずにいた言葉を、

「……いてくれるか?」

吐き出した。


< 131 / 171 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop