午前0時のシンデレラ

車を出して、牧場へ向かう。

やはりホテルからはたいして離れていなかったそこには、程なくして着いて、

「…行こうか」

と、先に降りて、助手席の彼女に手を差し伸べた。

「ありがとうございます…」

シートから立つと、着ているワンピースの裾がふわりと広がる。

「……似合うな…」

「…え? 何か言われましたか?」

思わず漏れた呟きに、「いや、なんでもない…」と、握った手をつかみ直した。

……牧場の中に入ると、馬が多く放牧されていた。

「乗馬も、できるらしいな」

言うと、

「……乗馬ですか」

と、彼女が不安そうな表情を浮かべた。



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