午前0時のシンデレラ

彼女を自分の前に乗せて、身体を抱くようにして手綱をつかんだ。

「……大丈夫か?」

「…はい。一人じゃないから、怖くないです…」

言い分がいちいち可愛いすぎるだろうがと思って、後ろから片手でぎゅっと腰を抱く。

長い黒髪が風に煽られて、頬を撫でる。

片手でその髪を耳にかけると、ふっと口元から息が漏れて、

吐息のかかった耳が、目の前でみるみる紅く染まっていく。

指で耳に触れると、

「…やっ」

ビクッと身体を震わせた。



< 142 / 171 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop