午前0時のシンデレラ

「やっぱり、可愛いすぎるな…」

聞こえないように呟いて、

「……少し、疾ばしてもいいか?」

と、照れ隠しに訊ねると、こくりと小さく頷いた。

馬の脇腹を軽く蹴って、草原を駆け出す手綱を操った。

「風が、気持ちいいな」

顔の横を涼風が通り過ぎていく。

「うん、気持ちいいです…とっても」

彼女が応えて、乱れた髪を押さえた。


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