午前0時のシンデレラ

見ると、折れたヒールで歩きづらそうにもしている姿が目に入って、

近寄って、前に立つと、

その身体を、横抱きに抱え上げた。

「…しゃ、社長! 何を…!」

腕の中で暴れるのに、

「黙ってろよ」

と、告げる。

「そんなんじゃ歩きにくいだろうから、車まで抱えていくだけだ」

「…で、でも……」

彼女の顔が赤くなっているのに気づいて、なぜだか自分も赤くなりそうにもなって、

「いいから、おとなしくしていろ」

と、目をそらした……。



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