午前0時のシンデレラ
「ああ、わかっている。直ぐに用意する」
デスクの抽斗にしまってあるネクタイを取り出して、開けていたシャツのボタンを留める。
ネクタイを結びながら、「ハァ…」と二度目のため息が出て、オフィスチェアーに背中をもたせかける。
(なんなんだよ…この虚無感は。何にも、興味が感じられないとか……)
ネクタイを結び終えて、掛けられている鏡で体裁を整える。
「何か…もっと、この俺を本気にさせるような刺激は、もうないのか…」
鏡の中の、眉間にしわを寄せている自分の顔を見つめる。
「……つまらなさそうな顔だよな」
一回頬を両手で叩いて、スーツの上着を羽織ると、社長室のドアを開けたーー。