午前0時のシンデレラ
「……しかし、本当にシンデレラみたいだよな…」
思いついたことが口から出て、「ククッ」と短い笑いが漏れた。
「シンデレラ……?」
と、彼女が不思議そうな顔をする。
「ああ、継母たちに仕事を押し付けられたシンデレラみたいだなと。その折れたハイヒールは、ガラスの靴とは少し違うがな…」
「そんな…私が、シンデレラだなんて……」
言いながら、彼女がヒールを手にして、「どうしようこれ…」と、呟く。
「もしかして、他に持ってないのか?」
「……はい」と、小さく彼女が頷く。
「ヒールはこれ一つしか持ってなくて……」
「だったら、俺が買ってやるよ」
なにげなく言うと、
「いいです!」と、声を上げて、頑なに首を何度も振った。