午前0時のシンデレラ
「どうして? 靴一足ぐらいいいって」
「ダメです!」と、彼女が毅然と断る。
「送っていただくだけでも悪いのに、靴まで買ってもらうなんて、そんなこと絶対にダメですから!」
さっきまでの謝ってばかりの姿とは打って変わって、あまりにはっきりと拒絶されるのに、
「なんだ…女なんて、みんな買ってやると言えば、あっさり受け取るもんだと思ってたのに」
そんな言葉が口をついて、
「……そんな風にも女性のことを思われてたんですか?」
と、ふっと上目に見られた。
「ああ…いや、そういうわけじゃないが……ただ、あんまりはっきりと拒むもんだから、ちょっと愚痴っぽくなってな……まぁ、ごめんな」
不意に見せられた意思の強そうな眼差しに、ドキリとしている自分がいて、
「いえ…」とだけ、彼女が応えると、
それ以上は、何も言えなくもなった……。